三階廊下


一生懸命傷を消そうとしている私の手を、田渕先生が止めた。私が顔を上げると先生は私と同じ目線にいた。

先生はゆっくりと私の手をよけて、そこにあった傷を見ていた。


私は田渕先生に見られたくなくて、手で隠そうとした。でも先生は力を込めて私の手首を掴んで離さなかった。




「大丈夫か?まだ痛いのか?」


先生は傷の古さを確かめてそう言った。私は頷いて答えた。

すると先生はあの時みたいに、私の頭をくしゃっとした。そして私に笑いかけてくれた。



「もう絶対にやるなよ?これは約束だ。

俺は遥香を守るから。」