一生懸命傷を消そうとしている私の手を、田渕先生が止めた。私が顔を上げると先生は私と同じ目線にいた。
先生はゆっくりと私の手をよけて、そこにあった傷を見ていた。
私は田渕先生に見られたくなくて、手で隠そうとした。でも先生は力を込めて私の手首を掴んで離さなかった。
「大丈夫か?まだ痛いのか?」
先生は傷の古さを確かめてそう言った。私は頷いて答えた。
すると先生はあの時みたいに、私の頭をくしゃっとした。そして私に笑いかけてくれた。
「もう絶対にやるなよ?これは約束だ。
俺は遥香を守るから。」
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