数日後。 傷は癒えなくても部活と生徒会が忘れさせてくれた。その二つに熱中していると周りが見えなくなるし、何も考えなくて良い。 それは私にとって唯一の救いだった。 そんなある日。 私はこっそりと部室を抜け出して自分の教室にいた。そしてグラウンドの野球部を見ていた。 「あれはストライク、ボール、ヒット…。」 隆平の部活が野球部だったからか、必死に覚えた野球用語が頭から離れなくなっていた。 こらえる涙を拭ってピッチャーの真似をした。キャッチャーの隆平に届くように精一杯腕を振った。