電子音で作られた予鈴が校舎内の全ての人の耳に入る


「清水君、もう戻らないと」

『そうだね』


立ち上がった清水君は先を歩き出す


別に何も言われなかったから
その真後ろを私は付いていく


とことこと後ろから追いかけるのはなかなか楽しい

大きな背中に触れたいなんて事を考えて少し頬を染めてしまう



『あ、理科室電気つけっぱなし…』
「ふぎゅっ!」


急に清水君が立ち止まるもんだから
顔面から思いもよらぬ方法で背中に触れる事になってしまった


「もー、あぶないじゃないか」

思わず掴んでしまったシャツを放して文句の一つでも言ってやろうと清水君を見たら









『それはこっちの台詞だよ…あー、もう駄目』


耳まで真っ赤にさせて上を向く姿が見えた




「照れたんですか!?あの天下の清水君が照れたんですか!?」

『なんでテンション上がるの、ウザい、さっさといけよ、榊がドン臭いからだろ、僕のせいにするな
照れて無いし』









清水君について知った事その一

照れると毒舌度が増すようです





「(清水君って、意外と女の子に免疫無いんだ)」

『(胸当たった、なんか変な声出してた、僕のシャツ握ってた、てゆーか抱きついてきた…)』



少年は今日も朗らかな彼女に苦悩する



ただ、それだけのお話






END