すきなひと



夏がもうすぐそこだとは言え、
さすがに暗い。

「もう帰る?」


「うん。」


「じゃあ行くぞ。」


俺は歩き出したのに、

「待って待って!
 大ちゃん、どこ行くの?」


え、これからどっか行くの?


「え、帰らないの?」


「帰るけど、駅こっちじゃん。」

あ、そういうことか。
送るって言ってなかったし、
駅で別れると思っていたのか。


「お前を送るんだよ。」



言葉にすると恥ずかしくなって
思わず彩希の手をとって
歩き出してしまった。

恥ずかしくて目見れねぇけど、
彩希も拒否しないし、
思わず繋いでしまった手、
………どうしよう。