大学までの道のり、鞄に入っていた携帯を手に持った。
最新型の白い携帯電話。
写真の画質が良く、データ保存容量も大きく、音の質も良いのでウォークマン代わりにもなる。
しかし、美月にはその総てがどうでもよかった。
通話ができて、メールが打てる。
それ以上、何も望みはしなかった。
ただ、和豊が会社で契約している携帯なので美月に最新の物を買い与えただけの事だった。
自分には、笑顔でピースをしながら写真を撮るような間柄の人間も、聴きたい音楽もありはしない。
二つ折りの携帯にLEDが綺麗に点滅していた。
メールの着信を知らせる携帯を開き、素早く指を動かした。
届いていたのは自分に想いを寄せている女からのメールだった。
頭の悪そうな文字の羅列。
自分に会いたいのだと、やかましいだけの鶏のように訴えている。
いや、朝の訪れを知らせ世界を始める鶏の方が幾らか頭も良いだろう。
そんな皮肉な考えが脳裏に廻った頃、眼前に大きな門が現れた。
今日も美月の朝が始まった。
12月の黒く濁りきった大都会の空の下、大きな口を開けた門が美月を飲み込んでいった。
最新型の白い携帯電話。
写真の画質が良く、データ保存容量も大きく、音の質も良いのでウォークマン代わりにもなる。
しかし、美月にはその総てがどうでもよかった。
通話ができて、メールが打てる。
それ以上、何も望みはしなかった。
ただ、和豊が会社で契約している携帯なので美月に最新の物を買い与えただけの事だった。
自分には、笑顔でピースをしながら写真を撮るような間柄の人間も、聴きたい音楽もありはしない。
二つ折りの携帯にLEDが綺麗に点滅していた。
メールの着信を知らせる携帯を開き、素早く指を動かした。
届いていたのは自分に想いを寄せている女からのメールだった。
頭の悪そうな文字の羅列。
自分に会いたいのだと、やかましいだけの鶏のように訴えている。
いや、朝の訪れを知らせ世界を始める鶏の方が幾らか頭も良いだろう。
そんな皮肉な考えが脳裏に廻った頃、眼前に大きな門が現れた。
今日も美月の朝が始まった。
12月の黒く濁りきった大都会の空の下、大きな口を開けた門が美月を飲み込んでいった。
