件の日曜日―
無情なほどに時間は早く経って行った。
彼女に会いたい。
でも、会うのが怖い…
甘い恋を知りたての少年の様に、鼓動は早く思考も落ち着きがない。

大きな中庭では、由美と馨がパーティーの準備をしていた。
馨は由美を自分の娘のように可愛がっていた。
実の娘である美月は男装の麗人の如き麗しさは兼ね備えていても、
女性らしい立ち居振る舞いはしない。
ゆえに女性らしい可愛らしさを持った由美が可愛らしく感じていた。
美月にはその方が都合が良かった。
自分には関わって欲しくなんてないのだから-

中庭をふらふらと歩き回る美月を見つけ、和豊が声をかけた。
「美月、どうかしたのか?」
美月はハッとなり、平静を装いいつも通りに冷静な対応を見せた。
「何でもありません。」
いつも通りではあるが、和豊にとっては寂しく感じずにはいられなかった。
苦笑いを浮かべ、会話をそらそうとなるべく明るく振る舞った。
「そうだ、美月。
今日のお客様の中には桜田君の二番目のお嬢さんがえる。
苺さん、というそうだが面識はあるのかい?」