一つ一つの少女の行動が、美月の胸を高鳴らせた。
自分の指が、吸い付いたように少女の唇から離れない。
いつまでも、大きな瞳で見つめられていたい。
この子の唇に、口づけたい…。
突然の衝動の波が、美月の胸の中を一気に渦巻くようだった。
息が苦しくなって、呼吸が出来なくなりそうで、思わず顔を引き寄せそうになりながら、視線をいつまでも絡ませていると、途端に目の前の少女の唇がゆっくり動いた。
「み、つき、さん…」

目の前の見知らぬ少女が自分の名前を呼んだ。
びくりとして、近づきかけていた顔を離した。
この学園の後輩だろうか？
だが、自分の周りでこんな少女を見たことがない。
これだけ自分のストライクゾーン狙い撃ちの少女を自分が見逃しているはずがない。
一瞬の内にいろんな思いが胸を駆け巡るが、一向に答えは出てこない。
困惑した表情で、それでも唇に触れた手と視線はそのままで、小さな少女を見下ろしていると、もう一度少女がゆっくり口を動かした。
「会いたかった…」