どれぐらいそうしていただろう?
実際は3秒程度のものだろうが、それでも美月には一生のように感じた。
美月の指が触れたのは、色が白くしなやかな、でもどこか可愛いらしい指だった。
隣から自分と同じように腕を伸ばした背の小さな女の子。
身長は自分より20センチは低いだろう。
肩で綺麗に切り揃えられたミルクティーのような甘い色の髪に、白くて赤みがかった林檎の頬、大きくて潤んだ瞳に膝丈のスカートから覗く足がまた抜けるように白く程よく、細い。
二人の指は触れ合ったまま、しばらく視線を絡ませたままでいた。
すると、一瞬にして少女の頬が真っ赤に染まった。
それに合わせる様に反射的に美月も手を引っ込めた。
「ご、ごめんなさい!」
先に口を開いたのは、少女の方だった。
自分の胸元で手を組み、ふるふると震えている。
下を向いていても顔が真っ赤になっているのが分かる。
「こっちこそ、ごめんね…?」
やっと我に返って謝りながら少女の顔を覗き込む。
今にも泣き出しそうな大きな潤んだ瞳、さくらんぼのような小さく赤い唇は噛み締めているせいで真っ赤になっている。
胸が、高鳴った。
自分でもどうしてそんな風に思ったのか分からない。
無意識に美月は自分の指で少女の唇に触れた。
少女は驚きのあまり唇は小さく開き、こぼれそうな程に目を見開いた。
少女の唇に触れたまま、美月は優しく微笑んだ。
「そんなに噛んじゃだめだよ?唇に傷がつく。」
美月の穏やかな微笑みに、少女はまた林檎の様に顔を真っ赤に染めた。
