「理事長、話長いよっ」

「ホント! 疲れた……」

 長い長い入学式が終わり、教室に向かう。
 今思ったんだけど……。
 瑞咲、よく来れたなぁ。
 いつもサボってるのに。
 まあ、嬉しいけどね。

「ねえー瑞希?」

「んー?」

「明後日、泊まりに来ない?」

「ホント!? 行く行く!」

 ニッコリと笑った柚那。
 明後日は土曜日。
 柚那の家はちょくちょく泊まりに行ってる。
 柚那も泊まりに来るしね。
 だから、家族ぐるみで仲良いんだ。

 ―ガラッ

 教室のドアを開けて中に入る。
 グルッと見渡すと、友達になれそう。

 ―ガタッ

 席に座ると両隣の人を見る。
 右が女の子で左が男の子。
 名前は……戸高さんと升水君。
 仲良くなれるかな。

「ね。貴方、誕生日いつ?」

 いきなり戸高さんが笑って喋りかけてきた。
 嬉しいな、喋りやすい子って良いよね。

「えとね、3月3日だよ」

「ホント? お雛さんじゃないの!」

 私と瑞咲、日にち跨いで双子なの。
 私が3月3日、瑞咲が4日。
 
「戸高さんは?」

 もし近かったらお祝いしてあげよっと。

「真菜で良いわよ。……11月23日よ」

「じゃあ、真菜。私は瑞希よ」

 今日は4月6日……あれ?
 柚那の誕生日、4月8日だったよね!?
 何も買って無いよ!
 どうしよう……あ、柚那に選んでもらおう。
 うん、そうしようっと。

「ちょっと。何フリーズしてるの?」

 あ、忘れてたよっ。

「ごめんごめん」

「良いけど。……兄弟いる?」