涼太君は突き飛ばされたにも関わらず私に謝った。
制服の埃をはらいもせずに私を落ち着かせようと近寄ってきたのだが、
私には恐怖心が先。立ってしまって正気に戻ることが出来なかった。

「いや・・こないで・・やめて・・・」

涼太君は、悲しそうな顔で私を見て、私を抱きしめた。
暴れられないくらいに、きつく。

「俺だよ。涼太だよ。大丈夫だから。もうしないから。」
でも、そんなの私に届くはずもなくて・・。
そのまま私は過呼吸を起こしてしまった。

「まり!?・・・嘘だろ・・。誰か!!誰か!!!」

気がつけば、保健室のベットだった。
横には、涼太君がいた。

「涼太・・君・・?」

「まり・・。ごめんね・・やりすぎた。」

「ううん・・。ちょっとびっくりしただけ。次からは予告してくれれば大丈夫だからw」

そういうと、私は起き上がろうと体を起こした。
でも、胸部が痛い。
(またか・・。)

だんだんと痛みが激しくなる前に涼太君を教室へいかせないと・・。
でも・・遅かった。

「まり!?どうしたの!?」

その声を聞いてなのか、先生が入ってきた。

「どうしたの!?」

「先生・・まりが・・まりが・・。」

先生は、私の様子を見て救急車を呼んだ。

気がつけば、目の前には白い天井があって・・。
なんだか薬品の匂いがするのを感じ取った。

「なんで・・!!!」

廊下から聞こえてきた、その声。

声の主は涼太君だった。

起き上がって、涼太君のもとへ行こうと病室のドアを開けた。
私の眼に、涼太君が涙を流してイスに座り込んでいるのがうつった。

「涼太・・君・・?」

「まり!?駄目だろ!寝てろよ!なんで起きてきた!」

それはあまりにも必死そうだった。
それを見て、私は涼太君は私のことを知ってしまったんだとわかった。