「えーーーー」



結衣は教室に響き渡るくらいの大声を出した。



「しー」


「ごめん。
そんなことってあるんだ」



結衣は驚いた顔で私を見ていた。




川北さんの息子が航也さんだっていうことを話したから。



やっぱり驚くよね。



「世間って狭いね。
でも、気まづいよね、これから何度か会うこともあるだろうし」


「でも、親たちは結婚しないって。
だから、子供同士が会うこともないと思うから」


「そうだったらいいけど」



結衣はにやにや笑っていた。





昨日の航也さんから言われたことは結衣には話していない。





あんなことを言われたら、余計に航也さんとは会いづらい。



航也さんは、そんなつもりなく言ったんだろうけど、告白した私にとってはちょっと期待しちゃう。



そんなことは決してないけど。



私のことを喜ばせて、川北さんのことを優しく迎えてほしいって魂胆?




でも、もう川北さんのことは受け入れてるから、私にそんな気を使うこともない。




「あーーー」



もう、考えるのはよそう。



余計に自分がみじめになる。



私は、もう失恋しているんだから。



「どうしたの?」



結衣が、私を心配そうにみている。