片思いしてます

今、目の前にいる母は、頬を赤くして幸せそうな顔を見せている。



「…お父さんのこと」



「これだけはわかってほしいの。
お父さんのことを忘れたとかじゃないの。今も3人での生活はとても大事だし、お父さんのことを忘れることはない。
でも、川北さんはそんな私のことをいつも大切に見守っていてくれた。
いつのまにか、私は川北さんのそんな気持ちに甘えてたのかな」



「…」



「川北さんも奥様を亡くされてて、今でも奥様のことを大切に思っている。お互い、亡くした家族のことを大切に思っている。そんなところに段々惹かれていったのかなー」



「川北さんのこと好き?」



「うん」


母が、川北さんのことがとても好きだっていうことはわかった。




父のことも大切だっていうこともわかった。



父が死んでから、ずっと私のために頑張ってくれた母。



母だって恋をする。



一番、母の頑張りを知っている私。



一番、母の辛さをわかっている私。



一番の母の理解者の私。



母にだって人生がある。



これから楽しんでもいいよ。



私が、認めることで母が楽しめるよね。