片思いしてます

バイトが終わり、家に着く。



玄関に入り、私は、深呼吸をする。



結衣に言われたことを頭の中で思い出す。



「ただいま」



「おかえり」



いつものように母はキッチンで片付けをしている。



「ご飯は?」


「賄い食べてきた」


「そう」


母の様子はいつも通り。



昨日のことが気まずい。



でも、いつかは話さないと。




「…昨日のこと」


「えっ…」


母は、驚いた顔を見せた。



「ちゃんと話しないといけないと思って」



母は、私の前に来た。




その顔は真剣で、私の顔をじっと見ていた。



「昨日はごめんね。ちゃんと2人で話さないといけないのに、川北さんが琴子に会いたいって…。驚いたよね」



「うん…。でも、あの人がお母さんのことが本当に好きだから」



「…」



母の顔が赤くなった。



母も一人の女性。



なんだか母がかわいく見えた。




いつも、仕事と子育てで男勝りなところがあったのに…。