片思いしてます

バイトが終わり家に着く。



玄関を開けるとすぐに違和感に気づいた。




男物の靴。



「…」



きっとあの人のだ。



母の恋人。



私は、何も言わずにリビングに向かう。




リビングに入ると、すぐに母の笑顔が目に入った。



そして、ソファーに座る男の人。



「おかえり、琴子」



母が私に気づいた。



そして、男の人が立ち上がりこちらを見る。



「はじめまして、川北悟(かわきた さとる)です」



「…」


さっきのオムライスのお客さん。



どうして?



「さっきは、バイト先でごちそうさまでした。とてもおいしかったよ」



さっきと同じ笑顔。



私は、この笑顔ですごく気分がよかったのに…。



私のことを見るためにバイト先にまで来たの?



私は、その場に立ったまま、その人を見つめていた。



「琴子…」



母の気まずそうな顔。