片思いしてます

「いや…君に…」



「…」



私のことを待っていたの?




でも、なんで?




向かい合う川北さんのことを見つめた。




「…この間のこと。
君が…告白してくれたこと」




「…」




私は、告白のことを思い出し、急に顔が赤くなった。




「ちゃんと返事しないといけないと思って…」




今さら?



それにさっき実和さんっていう、きれいな川北さんに似合う大人の彼女の存在を知ったことは、川北さんもわかっているはず。




それなのに、わざわざ私に彼女がいるから付き合えないとか言うの?




それって残酷なことだよ…。




言葉にしなくてもわかることだってある。




いくら子供でもこんなことはわかる。




直接言われると余計に辛い。




私は、うつむき身構えた。




「わかってます。
川北さんのこと好きだったけど、諦めます。
だから安心してください、もう好きなんて言わないし、もうあの電車には乗りません」



言われる前に自分で言っていた。




どうしても、直接言われるのが耐えられなかった。




「…」




川北さんは何も言わなかった。




私も、川北さんを見ることができなかった。




私はそのまま頭を下げ、その場から走り去った。