片思いしてます

お母さんに限ってそんなことはない。




見間違い?




暗かったからそうかもしれない。




お母さんは、お父さんのことが好きだから、そんなことは絶対にありえない。




いくらお父さんが死んでいないからって、お父さんを裏切るはずなんかない。




それに、お母さん45歳だし、こんな大きな子どももいるんだから…。




きっと見間違い。





「琴子」



脱衣所から母の声がした。




私は、ビクッとし、



「何?」



「バスタオル、ここに置いておくね」



「うん、ありがとう」



なんか、このままモヤモヤするのは嫌だ。



「お母さん、さっきの人って誰?」



「えっ?」



母の声で、動揺しているのがわかった。



なんか、こういう母はみたくない。



「だから、職場の人って言ったでしょ」



「本当?…キスしてたように見えたから」



「えっ…」


「冗談。ごめんね、変なこと言って」


「…」


母の返事が返ってこないことに苛立った。



「お風呂、もう出るね」



「うん」



母は、脱衣所を出て行った。



明らかに動揺していた。



やっぱり、母の恋人?



そういう人が母にいるの?