片思いしてます

何が、大丈夫なの?




私は、その人の顔を見上げた。




「昨日あんなことがあったから」



「…」



その人は、真剣な顔で言ってきた。



痴漢にあったこと心配してくれてるの?




私なんか、今まで昨日の痴漢のことなんか忘れていた。




昨日の告白のことで頭がいっぱいになって、痴漢のことなんか頭になかった。





今日の電車もすんなりと乗れた。




この人、こんな見ず知らずの女子高生のために心配して、来るかもわからないのに改札で待っていてくれたんだ。




私は、その人をしっかり見ていた。




年齢も身長も私なんかよりずっと大きな人。




今、私のために心配してくれている。




やっぱり、私この人のことが好き。




思っていた通りの優しい人。




私は、笑顔を見せた。




するとその人は微かに微笑んだ。




私達の横を通り過ぎる人たちは、不思議そうに私達をみながら歩いていく。