顔を洗うために、一階の洗面所に向かう。




母は、キッチンで料理をしている。




毎日、私のお弁当を作ってくれる。




母は、父が死んでから建設会社の事務の仕事を始めた。




仕事をしながら私の世話をしてくれた母。




いつかは恩返しをしないといけない。




本当に母には感謝している。






「琴子ー」



キッチンから母の声がする。



私は、顔を拭きながらキッチンに向かった。




「今日、職場の歓迎会があって、遅くなりそうなんだけど大丈夫?」



「大丈夫。ごはんは適当になんか食べるから、お母さんはゆっくり楽しんできて」



「ごめんね」



母の顔が嬉しそう。




職場の飲み会なんて久しぶりだからなー。




きっと、母のことだから普段誘われても断っていると思う。




高校生になったから、少しは自分の時間持ってもいいっていってるのに。




心配性な性格もあるか。






母は、先に家を出た。




私も、戸締りをすませ、家を出た。