片思いしてます

でも、今回は仕方のないこと。



今回だけ例外ということで。




私は、さっそく携帯をもち航也さんの番号を出す。




「…」




ドキドキ。



発信することができない。



マフラー忘れているから、月曜日に渡しますって言うだけなのに。



そんなに緊張することないって。



航也さんなんかなんとも思ってないんだから。



こんなのは思い切りが大事。





えいっ。




発信ボタンを押す。




「…」



ドキドキドキドキ。




呼び出し音がなる。




どうしようどうしよう。




「はい、川北です」




航也さんの声。




その瞬間、自分の携帯の番号を教えていないことに気づいた。



「…」



「もしもし」



どうにでもなれ。



「あの、咲田琴子です」



「琴子ちゃん？どうしたの？」



「すいません、夜分遅くに。
あの、マフラー忘れてるので月曜日にいつもの電車で渡しますね」



「あ、ごめん。
でも、いつもより時間早くなるけど大丈夫？」



「大丈夫です」



私の、ぎこちない言葉。



恥ずかしい。



早く話しを切り上げて電話を切ろう。