どうしよう、何も言わないで電車変えたから怒ってる?



気まずい。



「こんばんは、琴子ちゃん」



航也さんは、笑顔であいさつだけしてリビングに入っていく。



母や川北さんがいるから電車のことは言えないよね。



航也さんは大人だからそんなことで逐一言ってくるわけないよね。



私も、リビングに入る。



川北さんは、母と二人でキッチンで準備をしている。



なんか、キッチンの方に行きづらい。



いちゃいちゃしてる2人の邪魔はしたくない。



「…」



リビングに目をやると航也さんと目があった。



「あ、ビールでも飲みますか?」


私は、咄嗟に思いついたことを言った。



「俺、車だから。
でも、父が飲むと思うから後で琴子ちゃんからすすめてあげて、喜ぶと思うから」



「あ、はい」


本当に父親思いの人。



「それじゃ、お茶でも」



とりあえず何か動いていたかった。



自分の家だけど、どこにいたらいいのかわからなかった。



「いいよ、後でみんなで飲もう。
あっちは2人がいい感じだからそのまま2人にしてあげよう」



「はい…」


私は、ソファーに座った。