「DVD置いていくから。おもしろかったよ」



航也さんは笑顔を見せる。



「ありがとうございます。
あっ、でもこれ明日の朝には返さないと」



「そっかー、それじゃ、明日の朝駅で待ち合わせしようっか」



「えっ?」


「DVDもらって俺返しにいくから」



「でも…」



「うん、そうしよう」



「いいんですか?」



そんな面倒なこと。


「いいよ」



航也さんは笑顔を見せる。



「それじゃー、俺約束あるから帰るね」


「…はい」



恋人の実和さんに会う約束。



航也さんは玄関でくつをはく。



私はその背中をじっと見つめる。



「…あの、ありがとうございます」



昨日のお礼を言いたかった。



「俺の方こそ、DVDまでみせてもらってありがとう。
今日の夕方までに有希さんかえってくると思うから、大丈夫?」


「はい」






航也さんは帰って行った。



実和さんの所へ。





どうしよう。



ドキドキがとまらない。



閉まったドアを見つめる。



やっぱり好きだよ。



彼女がいても。



歳が10歳も離れてても。



親同士がつきあってても。



好きな気持ち、止められないよ。