Ⅹ#Sound.t.DL

井上は陸の前を通り過ぎ、涙の遺体の目の前に来た。


「ねぇハルカ、寺島さんは良い人だよ…」


井上は俺に言い、涙の鞄を開けた。

そして涙の携帯を取り出した。


「ダメ…!触らないで!!」


陸が井上の持っている携帯に目掛けて走り出した。


「これで終わるのよ!!」


井上は涙の携帯のデータフォルダを押した。

そして、ピアノのサウンドセラピーが入ってるフォルダを開いた。


「全曲消去すればもう誰も死ぬ事が無いんだ…」


井上は曲を消去しようとした。


「辞めてぇ……!!!」



涙の恨みは陸の肉体によって井上の背中にカッターが刺さっていく。


俺は陸の手を止めた。


俺の指からも血は溢れ、井上の背中からも血は溢れる。



血の海になっていく…



誰も時間を戻す事は出来ない。