寺島はトイレの洗面器の蛇口をひねった。 寺島は井上に言った。 「コンシーラーって知ってるかい?」 井上は頷く。 「私はね、君達に死ぬ事を知られたくなかったんだよ…同情されるのが嫌でね」 寺島は蛇口から出てくる水に手を洗った。 手はみるみる内に真っ赤な皮膚の姿を現した。 「痛いね…?」 寺島は笑いながらも、何処か苦しそうな表情を浮かべた。