防音室のドアの影に誰かがいる。 煙草の煙を吐きながら俺らをチラチラと見てくる。 俺は誰なのかすぐに分かった。 「寺島さん、何でいるんですか?」 俺は寺島を睨んだ。 「そんな顔をしなくて良いだろうに…」 寺島の顔は少し青白かった。体調でも壊したのだろうか? 「出ていって下さい」 俺は冷たく寺島に言い放った。 でも寺島は動こうとしない。 「好きな人と一緒の場所に行きたいとは思わないのかね?」 寺島は俺達に語りだした。