井上以外、誰も部屋にはいなかった。
それより、病院にいる事をやっと認識した。
「犯人って誰…?」
井上がまた意味深な事を言ってきた。
「??」
「防音室には、二人いたの?」
井上が静かに呟いてきた。
寺島が防音室に入ったっていう事は確実に一人はいる事。
…寺島に俺は刺されたって事か?
でも待てよ、他の声も聞こえた。
「防音室にハルカ君が入る前、女性の声が聞こえたよね?」
そうだ。
何か機械で作ったような感じだったが女性の声だ。
「RUIなのか?」
…違う、RUIは恐らく死んでるはず。
死んでなきゃ、他の楽器をやってる人が死ぬんじゃ殺人事件としてなる。
RUIが容疑者として扱われる。
「RUIってホントは生きてるの?」
井上が聞いた。
「…分からない。滅茶苦茶になってきた、RUIが生きてるか死んでるのかさえ分からなくなってきた…」
寺島が仕掛けたと見るか?
RUIが生きてると見るか?
「ハルカ君を殺そうとした犯人も、見付けなきゃ…」
井上が俺を見つめながら呟いた。

