回廊を抜けた先は、
蝋燭一本で事足りないほどの
大きな部屋だった。

奥はどうなっているかわからない
足元も覚束無い
しかし、
この部屋があまりに
おかしいものだというのに気づくには、十分な明るさだった。


時計だ。
壁にはこの世界中の時計という時計が集められ、掛けられていた。
何万という振り子が、忙しなくコチコチと時を刻


「安定している…」

「へ?」

「見てくださいロビン、これらの
時計は全て同じ時を刻んでいますよ。」


いわれてみれば確かに、時計が
逆回りになったり、高速にぐるぐる回転したりはしない。

むしろ、全ての時計が、全くくるいなく、
同じ時間をさしている。

ということは、
これらすべての時計が、この部屋の時そのものなのだろう。