風の民の半数は
世界のあちこちを彷徨う。

その理由を聞いても、
ほとんどの民は
「風が呼んでいるから」
と答える


風まかせ、明日は明日の風がふく





風の民は自由を求めた。







なだらかな高地に風車が林立し、
、小麦畑が風に吹かれる街で
二人は幼い少女に出会った。



「旅の人、どこからきたの?」


「ここからずーっと遠い世界からですよ。



「風のはじまる場所より遠いの?」


「そうねぇ…風のはじまる場所…
それはどこにあるの?」


「私もわかんない。でも
いつか行ってみたいな。
この世界の風は、みんなそこから
ふいてくるのよ。」


「へぇ、面白いな。
風のはじまる場所か…
俺は、いつのまにか風に吹かれていて、どこから来るかなんて、考えたこともなかった。」


「お兄さん、考えるのあまり
得意そうじゃないもんね。」


「う…鋭いな。しかし俺だって
真面目に考えることもあるぞ。」