死の世界の住人は、死なない。

原因は不明だが、ある日から
突然、死亡者が出なくなった。


おおよその住人は歓喜した。

死の恐怖から逃れること、
永遠の生命。

しかし問題が二つ浮かびあがった。
一つは、人口爆発。
死なないということは、
人口が減少しない、ということ。

もう一つは、人口が爆発的に増加
したことに伴って現れた現象。
死の霧。
これに触れると、いくら不老不死であろうが、
一瞬のうちに老いて死ぬ。


霧は止めどなく流れた。

住民は霧の届かない高所に居を
構える。
しかし、霧のかさは次第に増えていた。