世界の隅っこ、
まるでこの世から
その存在を忘れ去られた
かのように、ぽつんと佇む街
があった。街は外界から完璧に
隔離され、境には
誰が建てたとも知らない
大きな壁が、外からの侵入者
を拒んだ。




青年はそんな街に生まれ育った。
この世に生を受けて十九年、
質素な家族と畑を耕して、
慎ましやかな生活を送っていた。


年をとってもそれは同じ、この地
で自然に身を任せ死んでいく。
それだけの人生だと思っていた。