しばらくのおいかけっこののち、
ようやく少女を落ち着かせる
ことができた。

少女はクリアと名乗った。
幼い頃父も母もいなくなり、
それからずっと祖父と楽園に住んでいたらしい。


「逃げたりしてごめんなさい。
私、ここにいるお爺様以外の人と
会ったことがないんです。」

「そいつは…なんとも不健康な話だな。
寂しくないのか?」


「寂しくないといったら嘘になります。
だけどここには沢山の書物と動物たち…それにお爺様がいて…
寂しさをまぎらわしてくれました。」


「しかし他の人の気配すら感じられない。
それに、この霧はいつもこんな深いのかい?」


「あ、失礼しました。今晴らしますね。」


そう言うと彼女は祈りのてをつくる。