後半戦
悲劇が起こった。
後半戦が始まってすぐ、山下先輩が敵の選手と接触して倒れた。
倒れたまま立ち上がる様子はなく、先輩はすごく痛そうな顔をしていた。
「二ノ宮、救急バッグ!」
「はい!」
あたしは宮川先生と一緒に先輩のもとに駆け寄った。
大丈夫…
大丈夫…だよね?
「山下、どこやった?」
「…足首です。でも捻っただけなんでやれます。」
あたしは先輩のスパイクをゆっくり脱がせて、冷却スプレーをした。
先生は先輩の足首を触って、それから先輩の様子を見て
「ダメだ。二ノ宮、山下のポジションに林田に入るよう伝えて」
「はい!」
「でも俺できます。最後まで先輩たちとやりたいんです。試合…やらせて下さい。」
あたしは山下先輩の言葉に足が止まった。
そして控室で行っていた先輩の言葉を思い出した。
「これはきっとねんざじゃない。骨折だ!骨折してる奴にそのままやらせる監督がどこにいるか!
それに山下がいなくなったところでこのチームが負ける訳ないだろ。仲間を信じろ。」
そう言われて先輩は小さな声で「はい…」と返事をした。
「二ノ宮、早く伝えて来い!」
あたしは林田先輩のもとに走った。

