Side: 優
3人で帰ってきて、途中で二ノ宮と別れた。
本当は家まで送ろうと思ったのに。
「家まで送るよ。どこ?」
「そんなそんな、大丈夫です!今日は本当に色々してもらっちゃったし、
あたし、そんな攫われたり、声を掛けられるほどか弱くないので!
お気持ちだけで十分です。
今日は本当に本当にありがとうございました。また明日!」
と1人で言いたいことだけ言って、すぐに走って帰ってしまった二ノ宮。
女の子なんだから少しくらいわがまま言えばいいのに。
その後の帰り道。
さっきから横目で俺を見てくる萩原。
『お前さ…あんな体育倉庫の前で二ノ宮を抱き締めたらさすがにまずいだろ。』
『やっぱ見てたんだ。』
そんなことだと思ってた。
あの部室での言い方ですぐに分かったけど。
それに部室にいたし?
『やっぱ見てたんだって、他の誰かに見られてたらお前ら2人とも退部だぞ。』
『分かってるよ、そんなことくらい』
あれはもう無意識だったし…
あっちはただ怖くて抱き着いただけだろうけど。
『何でそんな冷静なんだよ!』
『だってこれにはちゃんと訳があるし、それに実際付き合ってるないんだから何もないじゃん。』
『そうだけどよー』と言いながらブツブツ言ってる萩原。
この気持ちはまだお前にもバラす訳には行かねぇんだよ。

