でも…
『それって…やっぱり冗談ですよね?』
どうしても信じられない自分がいた。
『冗談言ってどーすんだよ!二ノ宮には優が普通にやっているように見えたか?』
とちょっと低い声でいう萩原先輩。
本当なんだ…
だってそんなことをしたあたしが言うのも変だけど
ちょっと…ちょっと周りと違う対応しただけなのに。
ずっと前に会ったことがあることだって忘れちゃったでしょ?
『もう!本当はまだ言わない方がいいかな?って思って黙ってたけど、全然信じてなさそうだから言うよ。
優先輩はちゃんと杏のこと…覚えてるよ。』
え…
そんな…
『…だってあれ本当に一瞬のできごとだったし
顔だってちゃんと合わせたわけじゃないのに。それに何年も前の話だし…』
『優先輩がどれくらい覚えているかまでは分からないけど、
昨日兄貴が優先輩から話されたんだって。』
『何て言ってましたか?』
あたしはすぐに先輩の方を向いて答えを求めた。

