階段を上りながら萩原先輩は、
「手前の俺の部屋に優がいるから、先行ってて」
と言われて緊張しながらもあたしはコクンと頷いてそれを見ると部屋に案内して
萩原先輩は部屋に入らず下りていった。
あたしは萩原先輩を見届けた後、ゆっくりとドアを開けた。
「…こんにちは」
「おー!二ノ宮じゃん。もう来てたんだ。」
といつもの笑顔を見せてくれた。
「はい、昨日から泊まっていたので。」
「そっか、俺も萩原を家に呼ばないで、萩原の家に来れば良かったな!」
「え…?」
とあたしが素っ頓狂な声を出すと、先輩は「冗談だよ。」と言って悪戯な笑みを浮かべた。
「そーいえばさ、二ノ宮がサッカー部のマネージャーをやろうとした理由って何?
だってさ、この部活のマネージャーやっても他の部活と違って部内恋愛禁止だからこの部活の人とは
付き合ったりすることできない訳だし。」
と興味深々な顔をして聞いてくる先輩。
理由なんて…先輩がいるから、先輩のそばにいたいからこの部活に飛び込んだだけ。
でも、そんなこと絶対先輩には言えない。
それを言ったら、先輩に振られるどころか、部活も辞めなくちゃいけなくなっちゃう。
あたしはただ「サッカーを…観るのが…好きだからです。」

