「…なんか、懐かしいな」
「えっ?な、なにが…?」
「覚えてないか?中学の時、俺達がまだ出会ったばっかの頃。近くの山登ってさ、こんな景色、みんなで眺めたの」
私達の家から少し歩くと高い山がある。
そういえば、仲良くなったばかりの頃、一度みんなでそこに行ったっけ。
まだ小さかったのもあったからか、そこからの景色は凄く綺麗だった。
「もうそんなにたつんだな。俺達が出会ってから…」
「そうだね…。思えば私、男の子と仲良くなったの優太達が初めてかも」
「え、そうなのか?…まぁ、その方が嬉しいけど」
「え?」
「春……」
カタン、と私達が乗っている観覧車が静かに揺れた。
瞬間、唇に柔らかい感触。
そっと離れた優太の顔は、今までに見たことがないくらい真っ赤で。
「ゅ…優太……今、何をっ…」
状況がつかめず、自分まで真っ赤になる。
「まだ、わかんねぇ?」
「え…えと…っ」
「はぁ…。春には負けるよ…」
そう言って小さく深呼吸をする。

