not reach voice



なんでもない 他愛ない会話──



ただそれだけの事なのに

ユウマと話す事は どれもこれもが楽しくて

全部 全部 大切な時間になってく。






─…ねぇ。きっと 私の思いは あなたに届かないのだろうね。




届いてほしいと思う。ユウマだけを独り占めしたいと…。




だけど 届かなくてもいいと思う。この関係を崩したくない…。






真逆の2つの思いが 私の中で交差する…─







『アキホっ! 着いたぞ! 何ボケッとしてんの?』




『─…ッ!! あ… もう着いちゃったんだ…。』




『なになに〜? 俺と離れるのが寂しいってか?』




"寂しい。離れたくない。" そう言えたらいいのに─




『はいはい。言ってなよ。じゃあ 送ってくれてありがとね。』




─ホントの事は何一つ言えはしないんだ……




『ひでぇなぁ〜。気をつけて帰れよ?』



『って言われても…。あと部屋まで行くだけだし。』




『その間に何かあるかも知れないだろー?』






─何かあれば来てくれるの…?




『ないない。大丈夫だよ。まぁ気をつけて帰るよ。』






─聞きたい事は 何も聞けないまま






『あぁ。じゃあ俺も帰るわ。またな。アキホ…』






ユウマは 私の髪をぐしゃぐしゃと撫でて







『うん。送ってくれてありがとう。また…ね。』







2人で歩いて来た道を 独り戻って行った………