君がくれたもの

男の人はずぶ濡れになりながらも声もあげずに静かに泣いていた


その涙の理由は今だに知らないけど…


「あの………。」


「ううっ……ごめん……
なんか色々嫌になって、お酒でしか辛いことまぎらわせなくてさ…」


悲しそうな声で話す男に同情してしまい私は折れた。


「あ……わからないけど、元気だして。タクシー呼ぶからさ。お金もしょうがないから出すから。」


「ごめん…ありがとう。」


そう言葉を発すると


男の人は道路の脇にフラフラになりながら寄ってまた座り込んでうつむいてしまった。


私は携帯でタクシーを呼んで


うつむいてる男に話しかけれる雰囲気でもないし


雨もさらにひどくなってきたから


ため息をつきながらタクシーが来るまで

傘を男が濡れない様

一緒にさして隣に座り静かに待ってた。


顔は酔ってて真っ赤だけど…
体つきはガッチリしてて、眼鏡をかけており
顔つきはすごく大人っぽく、人がよさそうな感じの人だった…



そして15分程するとタクシーが来て


行き先を聞くために男に声をかけたが…

反応がない……