「あっちょっと…」

「え、あ、ごめん」


彼は少し後退りながら更に私の頭を引き離すと、そう言い放った。

その意味を理解すると、すぐさま私は洗面台で蛇口をひねり、自分用コップに水をたっぷりいれた。

「ちゃんと口ゆすいだー?」

「んー」

コップいっぱいにあった水がなくなるまで口をゆすいだ私は、また彼がいるベッドに戻った。

「ゆすいだっ」

「ん、いいコ」

彼は私の頭をひと撫でしたのち、軽くキスをしてくれた。


立川美波、19歳。
とあるしがない大学生である。

そして今は、とあるしがない社会人と同棲中である。

「ミナミってほんっとフェラ上手くなったよな」

「そ?」

「うん。なんか最近は格別ヤバい」

彼はアパレル系の会社に勤めている。
結構上の年齢だし、年齢に比例して会社での地位もsexの上手さも上々だ。

「まあ経験つめばねえ…」

「え、お前俺以外にシてるの?」

彼の一瞬の動揺に少し笑いながら、私は答えた。
「シてないよ」

嘘。ホントはもう一人いる。

「だよな~」

安心したらしく、彼は私の上に覆い被さった。
それと共にベッドはキシ、と音を立てる。