−夢花side−
教室の窓から、砂浜が見えた。
昨日のコトを思いだす。
奏の言葉は
奏の温もりは
あたしの心を暖めた。
ずっと、一緒にいたいと思える。
この恋に終わりが来る日なんて、想像もできない。
それでも…
あたしたちの、未来は、少しずつ…でも確かに変わりはじめていたのかもしれない。
『夢花、話したいコトがあるんだ』
夕飯の前に、パパが言ってきた。
あたしは、軽いノリで
『なに?』
と、聞いた。
パパの言葉がどんなに大きな物かも知らずに…。
『パパの転勤が決まったんだ』
パパの言葉を聞いた瞬間、時が止まった気がした。
『転勤…って……。どこに…?』
『東京だよ』
なんでもないふうに、サラリと言うけれど東京って… 遠すぎだ。
『引っ越すってコト?』
『あぁ。 パパは今月中には向こうで暮らせるようにする。
夢花は…どうする?島根に残るか?』
『残るって…!』
『パパが充分なお金は送るから、アパートで独り暮らしするとか。
だって、夢花はここを離れたくないだろ…?』
パパは優しい目でそう言った。

