砂浜に浮かび上がる、2つの陰。
それは、ピッタリと寄り添っていて、入るすきもない。
それが、また胸を痛ませる。
俺の出番なんて、少しもない。
奏より早く夢花に出会っていたら、夢花は俺のコトを見てくれたのだろうか…?
答えは、きっとNOだ。
夢花と奏の出会いは、必然的で。
どんな世の中でも、2人は出会わなくちゃいけない2人なんだ。
それでも、人の気持ちって、自分でも止められないんだ…。
だって、どんな世の中でも、夢花を好きになる俺がいたと思う。
大きくなっていく感情は…
ふくらんでいくこの想いは…
行き場をなくして、さまよっている。
誰よりも大切だから、幸せでいてほしいと思うのは当たり前。
それでも、欲しくなってしまうコトも当たり前。
人は、欲張りな物なんだ。
今だって…
隣にいるのが、俺だったら…
と思ってる自分がいる。
俺はいつまでも見ていられなくて家に帰った。
夢花の笑顔が…
夢花の声が…
頭から離れなくて、その日はよく眠れなかった。

