−玲音side−
久しぶりの島根は相変わらず田舎だった。
東京は俺には居心地が悪かった。
他人のコトには無関心で、誰もが自分の為に必死で生きてる。
空気が悪くて、汚いトコだった。
俺の父さんも母さんもそうだ。
子どもを1人にさせて、自分たちのコトだけを考える。
うざいとか、うるさいだとか、そんな感情を親に抱いたコトはなかった。
だって俺には構わないから。
俺の父さんは不動産業を経営する社長だ。
母さんは副社長。
月1万を俺に渡して欲しい物はこれで買えと言う。
最低だろ…
俺は昔から、奏の家に憧れていた。
家にはない、幸せな空気がそこにはあった。
だから、島根に戻り奏の家で暮らすコトが決まった時は嬉しかった。
早く、東京を出たかった。
島根は東京と違って、空気がよかった。
まわりの景色を眺めながら歩いていると、女の子にぶつかった。
夢花…
それが夢花との出会いだった。
あの時は思ってもなかった。
こんなにも
君を好きになることを…。

