君の隣




声が震えた。



それは寒さだけのせいじゃなくてあたしが泣いていたから。




どうしようもなく、寂しくて…

襲ってくる孤独が怖かった。




今それを奏が包み込んでくれた。



奏の腕の中は暖かくて、心地よかった。





『ずっと、1人で泣いとったんだろ…? 辛かったが…』




抱きしめる力が強くなる。




『言ったが…。俺がそばにおっちゃるって。

好きなんだが…、他のコトなんかどうでもよく思えるぐらい…。

全部捨ててでも、守りたいんだが』




『そ…ぅ…』




玲音とは違う
不器用で、強引な優しさ。




それなのに
世界で1番愛しいと思える。




『もう、1人にしないが…。

玲音のトコなんかじゃなくて、俺のトコで泣けや。

俺は、夢花しか見えん…』





『あたしも…奏しか見えないよ』



奏は腕の力を緩めて、そっとキスした。



冷えた唇が熱を帯びていく。




この人のそばに
ずっとずっと、一生いたいと思った。





世界で1番愛しい人…



この想いは消えるコトはないでしょう…


たとえ、運命が2人を引き裂いても…


あなたへ抱いたこの思いは
あたしの大切な大切な初めての気持ちだから…。