君の隣




奏はあたしの姿を見つけると、そばにきて話しかけてきた。




『夢花、サボってたのか? 玲音といたんか?』




『うん』




『泣いてたんか? 目はれちょる』


奏があたしの瞼に触れようとしてあたしは咄嗟に顔をふせてしまった。




『泣いてない』




奏には泣いてたコトを知られたくなかった。




また、自分を責めると思ったから。



あたしが弱いだけで
奏は何も悪くないんだ。




『そか…。なら、いいが』



奏は自分の席についた。




その日の放課後。



あたしと奏は砂浜に来ていた。



まだ雪が積もっている。



歩くたびに、足が沈んだ。




『なぁ、夢花』



奏の声は真剣なものだった。



『なに?』




『夢花、無理してねぇか?

俺が笑ってる夢花がスキだなんて言ったけん、無理して笑っとるんじゃないんか?』





奏…。


奏は、気づいてくれてたんだね…


奏の優しい声が心を溶かしていった。




『奏…。あたしは、奏がいれば大丈夫って、そう思ってた。

けど、寂しくなるの…

ママに会いたくてたまらなくなる。

涙が止まらなくなるの…』