君の隣





玲音が来てから、何週間かたった。



クラスで玲音は人気者になった。


相変わらず、悲しい瞳をしてるけど、玲音の笑顔はきれいだった。



ある日の5時間目…


体育がダルくて、あたしは屋上でサボることにした。



そういうことはよくあって、お気に入りの場所は屋上。



屋上から見る、景色がスキだ。



頭上に広がる青空…



寝っ転がって、手を伸ばしてみると手が届きそうだった。




ママは…この空のどこかにいるのかな?




届きそうなのに…

決して届かない。




あたしの目から、涙が一筋流れた。




その時、屋上の扉がキー…っと音をたてながら開いた。




あたしは仰向けになったまま、瞳を閉じた。




隣に誰かの気配を感じた。




『夢花。ダメじゃん、こんなトコでサボってちゃ』




あたしは、その声に目を開けた。


『玲音だって、サボりじゃん』



あたしは、隣を向きながら言った。




『そこは置いといていぃの』




『意味わかんないよ』




あたしたちの間に静かな時間が流れる。




『ねぇ、玲音…。
ずっと聞きたかったコトがあるの』



あたしは空を見たまま、話を切り出した。