帰りは、奏と玲音が送ってくれた。
2人はナイスコンビで
一緒にいると楽しかった。
家までの時間が早く過ぎたように感じた。
『じゃぁな、夢花!』
『バイバイ』
あたしは、奏と玲音に手をふってから家に入った。
パパはまだ帰ってきてないみたいで、家にはあたし一人だけだった。
途端に襲ってくる
孤独感…
悲しい過去も
幸せな過去も
全部、頭に浮かんでくる。
思い出したくない…
忘れたくない…
心の奥ではずっとママの名前を呼んでる。
いっそ、全て忘れてしまえればいいのに。
嫌な過去も
幸せな過去も。
そうしたら、こんなに苦しくならないのに。
無邪気に笑っていられるのに。
『夢花…』
ママの声が聞こえた気がする。
その声は優しくて、柔らかくて…
あたしの大好きだった声。
あたしはしゃがみこんだ。
『ママ…』
真っ暗な中で
たった1人のような気がして…
孤独に襲われる。
誰かがそばにいる時は平気でも
1人になると、ダメだった。
自分がこんなにも弱いなんて…
自分で自分が情けなく思えた。

