『奏の家に行きたいんだけど…
記憶が曖昧だから、一緒に来てくれない…?』
『いぃけど…
今、奏部活行ってるよ』
『あぁ。奏の家で待つから大丈夫』
『分かった』
あたしは玲音と並んで、奏の家に向かった。
その間
奏との出会いとか、思い出とかを話してくれた。
あたしは奏との関係を言わないでおいた。
悲しい過去まで、話すことになりそうだったから。
今は、話したくなかった。
奏の家に着くと、玲音はわくわくしたようにインターホンを押した。
『あら、玲音くん。久しぶり〜』
奏ママがいつもの笑顔と高い声で出てきた。
『ごぶさたしてます』
『すっかり、かっこよくなっちゃって〜。
あれから、3年だけんね』
『そうですね。
ママさんは変わってないですね』
『いやーね、老けたわよ』
奏ママが恥ずかしそうに言った。
『あら、何で夢ちゃんと一緒なの?』
『色々あって、ここまで連れてきてもらったんですよ』
『あ、そうなの。
ありがとう、夢ちゃん!
夢ちゃんも上がっていって』
『ありがとうございます』
奏ママの気遣いに甘えて
あたしは玲音と家にあがった。

