君の隣




『夢花は中2だよね?』



いきなり、名前で呼び捨て…?



でも、なぜか不愉快にはならなかった。




『はい。奏と同い年です』



『俺も中2だよ!』



彼は無邪気に笑った。




『だから、敬語じゃなくていぃよ。 なんか、違和感あるし』




『うん、分かった』




あたしは、もとから敬語とか苦手だから少し楽になった。




『こっちに遊びに来たの?』




『うぅん、戻ってきた!

父さんと母さんの仕事が今めっちゃ忙しくて…

俺の面倒見れないから、奏の家に居候することになった』




『奏の家に!?』




『うん!
もとから、親どうしが仲いいから。

まぁ、俺んちは仕事ばっかで俺のコトなんか邪魔扱いだから。

都合よかったんだと思う』




笑いながらそんなコト言うけど…

あたしには分かる。


その笑顔は無理してる。



あたしがそうだから…

きっと、今の玲音はあたしと同じ瞳をしてる。




『そぅ…なんだ』




『うん! 3学期から、A中通うことになるから、よろしくね』




『うん、こちらこそ』




玲音は、明るくて、優しくて…
でも、その瞳はどこか悲しかった。




玲音との出会いが

あたしたちの運命を大きく変えるコトを

あたしは……まだ知らない