『大丈夫です。すいませんでした』
男の子はあたしと同じ年くらいか、少し年上くらいか… そのくらいだった。
背が高くて
ちっちゃめのあたしは上目遣いになった。
『俺こそ、ごめんね。なんか、あったの?
目が悲しい感じする』
『あなたに話すことじゃ…』
『そうだよね…!ごめんね…。
この辺の人? もしかしてA中?』
『A中です』
『まぢ! ラッキー!
山川 奏 って知ってる?』
奏…?
この人が何で奏を知ってるんだろ…?
『知ってますよ』
『元気にしてる?』
『はい、とても』
『よかったー。
俺、奏の幼なじみだったんだ。
けど、5年生の時、東京に引っ越しちゃって…
それから、ずっと会ってなかったんだ』
5年生の時だから
あたしがこの街に来る前だ。
だから、知ってるはずない。
『そうだったんですか』
『奏が元気でよかった。
あ、俺の名前は 酒井 玲音(さかい れお)。
よろしくね』
玲音…。彼に似合うかっこいい名前だと思った。
『あたしは、南 夢花です。よろしく』
『夢花ちゃんかー。いい名前だね』
あたしも、夢花という名前は気に入っていたから、嬉しかった。

