『2人とも、そんなおいしいか?』
パパさんが
驚いた様子で聞いてきた。
『ちょぅ、うまいっす』
ふんわりとした優しい味だった。
『優奈の味なんだ』
パパさんは切なそうな、懐かしそうな表情で言った。
途端に、夢花の表情も切なくなっていく。
『優奈の特製レシピなんだ。
この味はふんわりしてて、優しい…
優奈に似てる…』
パパさんの優しい言葉と表情で、ママさんのコトを変わらず愛しているんだと伝わってくる。
夢花は
今にも泣きそうな顔をしていた。
何て言っていいか分からない。
俺はやっぱり弱い…。
『パパ…。 ごちそうさま。
おいしかったよ』
夢花はまた無理して笑う。
分かってるよ…
心の奥では泣いてるんだろ…?
ごめんな…
涙をふいてやれなくて…
誰より愛しい人なのに…
どうして幸せにしてやれないんだろう…?
傷は…
夢花の心の奥に深く突き刺さり
どれだけ時がたっても
癒えない…
消えない…
夢花の心が晴れる日はくるのだろうか…?
俺は
夢花の太陽にはなれない…?

