『奏!朝だよ! おきて!』
高い声に目を覚ますと
夢花の笑顔があった。
昨日、あんなに泣いてたくせに…
今はこんなに笑顔だ。
でも、目は赤くて少し腫れていた。
『おはよ』
俺は起きあがった。
『着替えたら、下おりてきて!
朝ごはん、用意してあるから』
『了解。ありがとな』
俺は夢花が出ていってから、着替えた。
あんなに笑って…
無理しすぎだろ。
夢花の笑顔に心臓がズキズキした。
今は頼ってほしかった。
俺の前だけでも、ホントの感情を出してほしかった。
俺は…
夢花のために何が出来るんだろうか…?
何度考えても分からない。
どっちにしろ
夢花を傷付けてしまいそうだった。
俺は下に降りていった。
テーブルには
おいしそうなハニトーが並んでいた。
『うゎ、うまそ』
『あたしと、パパで作ったの』
『ほとんど、パパさんだろ!』
『バレた!? まぁ気にしないの!』
夢花は俺の隣に座って
ハニトーにかじりついた。
『んー、おいしー』
夢花の感想に
俺もハニトーにかじりついた。
『うめー!』
口の中に
甘さがふんわりと広がった。

